レビュー

【全話レビュー】Netflixのラブ・デス・ロボットは、まるで現代のショートショート

2019年Netflixで公開されたアンソロジーシリーズの「ラブ・デス・ロボット」を全話見てみました。このシリーズは10分から20分程度の短編で構成されているアニメーションで、サスペンス、SF、ファンタジー、ホラーとジャンルも多様です。

ただストリーミングサービスだからこそ出来る表現の限界までやっている作品もあり、映画館での上映やテレビでは決して放映出来ないだろうなという短編も多かったです。

話はSFや現代、架空の世界を舞台にしていますが、星新一のショートショートを思い出すオチや構成だなというのが最初に話をみた時の印象です。映像もリアルなアニメーションから、子供向けかと思う絵柄のアニメーション、実写まで様々なです。

また1話あたり16分程度なので、隙間時間にみられます。ただこのシリーズはダウンロード出来ないのはちょっと残念でしたね。

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わし座領域のかなた

SFが舞台のようですが、軽いホラーの印象もある作品です。昔のSFホラー映画のような怖さより、「これはもしかして?」という印象を植え付けつつ、想像した結論へ向かっていきます。ただ結末はなんとなく想像はついて予想通りなのですが、最後の映像の怖さはかなりあります。

あとグロイ画面はないけど大人の場面があるので、子供に見せるには向きません。

秘密戦争

シベリアが舞台の邪悪な怪物との死闘のお話です。第1話とは大きく異なり、リアルなアニメーションで戦闘の映像や怪物に襲われた後の人の映像が沢山出てきます。イメージとしては昔の名作のエイリアン2が現代を舞台にさらにリアルに鮮明に描いた感じです。

まるで洋物のゲームの映画化を見ているようなのですが、日本ではちょっと出てこないリアルな映像すぎて、ご飯の前や後に決して見てはいけません。

ソニーの切り札

あのメーカーのソニーではありません。ソニーという女性が怪物を操って戦う怪獣大決戦のお話です。

怪獣同士のバトルはアニメーションなのか、特撮なのか、見ている側はリアルすぎてエキサイティングな進行は圧巻です。でもバトル中心の映像作品ですので、他の話と違って安心して見られる内容です。最後はドンデン返しというか、隠された秘密が明らかにされるのですが、これはこういう話が好きな人は想定の範囲ではないでしょうか。

魂をむさぼる魔物

今までリアルなアニメーションだったのが第4話は突然、アニメーションが一昔前の海外の子供向けアニメのような絵柄になります。ただ子供向けの絵柄でも、喰われます。グロイです。

魂や心臓を貪る怪物との逃走劇の話ですが、怪物の弱点は銃でも爆弾でもなく何と猫。でも猫は発情中で役に立たない時はどうするか。そして「最後は、無事に人間たちは怪物から逃げ切れたのか」とハラハラするストーリーでした。

でも他のストーリーと比べてちょっと最後は不完全燃焼でオチとしては弱かった気がします。

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ロボット・トリオ

人類が絶滅したとの世界で、3体のロボットがブラックジョークを振りまきながら、人間に対しての疑問や分からないこと振りまく、抑揚のないストーリでした。でも最後にインスタで大人気のあれが世界を支配している事が明らかにされるのです。

話の中では何で人間がいなくなったのかは明らかにされませんが、ちょっと哲学的な話にもなってきます。でも安心して子供と見られる話でしたね。

氷河時代

なんとも不思議なファンタジーでした。冷蔵庫(冷凍庫)を開けると、シムシティのような古い文明がいます。でもそこでは時間の進みが実世界と違って、見るたびに主人公達を違う世界へ誘ってくれます。

世界の再生と破壊ややり直しを見せてくれるホンワカな話で、心あたたまる話でした。このシリーズでは珍しく子供に見せたいアニメーションですね。

目撃者

一瞬、水彩画のような絵柄の近未来を舞台にしたサスペンスのアニメーションです。殺人現場を目撃した女性が逃げ回る話とだけ表現すればありきたりの話ですが、映像表現が甘美な世界と恐怖の世界を相対して表現しています。

そしてラストは秀逸でした。こういう話で最後につなげるのかと感心します。最近のなろう系小説でエンドレスエンドみたいな印象を受けますね。

でも、こういう話は面白いけど、登場人物の服装があれなので、電車の中で見られません。

スーツ

ほのぼのとした牧場ストーリーにエイリアン来襲です。でも牧場主たちはただエイリアンに襲われるだけではありません、ロボットに搭乗して、エイリアン達と戦います。要塞となった牧場をバックに、エイリアンの数が多い絶望的な戦いですが、こういうストーリーは日本のアニメと違って最後に何とかなるという希望が持てないのですよね。

よく最後に暗示的な意味のシーンがありますが、これは見た限りでは最後は絶望的なシーンがあります。この話は世界観が気になって、もっと話が広がりそうな印象がありました。

ヨーグルトの世界征服

この話を思いついた人は天才的ですね。タイトルの通り、知能を持ったヨーグルトが支配する社会の話で、そこに至るまでの話が描かれています。

ヨーグルトと人間とどのようにコミュニケーションを取るかというと、シリアルを文字に並べたり、泡でおしゃべりします。ヨーグルトに支配された社会は平和で健康的なのですが、最後はヨーグルト容器の宇宙船に乗って、どこかに行ってしまいます。

いや、ヨーグルト容器型の宇宙船なんて、大気圏を脱出するのに非常に大変な気がしますが、人類には理解出来ない知能で何とかしているのでしょうね。この話は、人間は誰かに頼ると最後は滅亡してしまうという暗示なのかもしれないです。

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グッド・ハンティング

悪霊から人々を守る狩人の息子と妖怪との友情の不思議なお話です。どこか中国を舞台にし、フレームワークがワイヤーアクションのような動きのあるアニメです。

魔法と妖怪が結びついていたり、設定としては不思議な所がありますが、世界が産業化により魔法と妖怪が追いやられていきます。まるで開発によって野生動物が消えていってしまうかのようです。

ただ友情の話で綺麗な話ではなく、機械文明で魔法を再現した復讐劇の悲しいお話でした。

ゴミ捨て場

ゴミ捨て場で暮らす老人に、検査官が立ち退きを要求してきます。でも老人はゴミ捨て場での暮らしが快適です。その快適になるまでのお話が描かれています。

ジャンルはホラーみたいですが、そんなに怖くない一瞬で終わってしまうお話です。というか実はあまり印象に残っていないお話なんですよね。たぶん他の話と違って盛り上がりにかけてます。

シェイプシフター

不思議な力を持つ海兵隊員のコンビがアフガニスタンの戦場で大活躍するお話です。不思議な力は動物に由来するものですが、現代のアフガニスタンが舞台の一言で表すと「決戦!狼男」でしょうか。

リアルなアニメーションで描く、軍の規律と、繋がれずに自由に生きる狼男との葛藤の悲しいお話でもありました。本当に狼男がいるのであれば、軍に利用されてこのように生きる事もありえるのだろうなと思わされました。

救いの手

長編映画のようなストーリーだけど、短編でまとめた絶望的なお話です。不慮の事故により、宇宙の船外活動で船から投げ出されてしまった宇宙飛行士が、帰還するために体を張った決断を、あまりに痛々しいお話です。

この話、リアルに近い映像だと見ているのが辛いですね。でも最後はデッドエンドなのか、ハッピーエンドなのかは最後までハラハラしながら見られる作品でした。

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フィッシュ・ナイト

THEアメリカンアニメーションムービーで描かれる二人のセールスマンの砂漠で困ったお話です。むしろ、最初は困ったおっさんの砂漠での日常会話しかありません。

「これどこが面白いの?」と最初は感じたのですけど、おっさん達が不思議な現象にまきこまれ、幻想的な映像が広がるともに悲劇で締めくくられてしまいます。う〜ん、ちょっと抑揚がない話で個人的には中途半端だなと思います。

ラッキー・サーティン

不吉な13を冠する戦闘機ラッキー・サーティンに新人が搭乗し、大活躍をする話です。飛行機とパイロットの絆が描かれていますが、最後は悲しい結末で締めくくられます。

この話は他の話と異なり、人間の死ではなくて、ロボットの死を描いています。死をモチーフにしたこのアンソロジーの中でも異色の作品だと感じます。

ジーマ・ブルー

謎を呼ぶ芸術家のジーマが描く青をモチーフにした作品を巡る、独特のタッチで描かれたアニメーションでアメコミ風の作品です。

芸術家だったジーマとは何だったのか、自分自身は何だったのか、機械は人間になれるのか、機械が元に戻るという行為で問いかけてきます。抑揚のない作品ですが、なぜか惹き込まれる作品です。

ブラインド・スポット

サイボーグの盗賊団が襲おうとした輸送車ですが、思いもしない事態にみまわれるアクション短編です。

アクションとしては面白いですが、幾分、ゲームの一場面を見ているようで、まったく状況がわからないのが辛いです。

歴史改変

ヒトラーが現実と違う死に方をしたらというイフの歴史6パターンを可愛らしいアニメで描かれています。これ見て思い出すのはサウスパークでしたね。ブラックジョークが過ぎるアニメです。

シナリオが進むにつれて現実感がなくなっていきます。というよりゼラチン兵器とか意味が分からないのですが。