英語を学ぶとは

大学中級以上の英語力がある小学校の教員はたった3%?~

2020年から小学校でも外国語活動や英語の授業が必修となります。ただ既に前倒しで小学校では外国語活動や英語の授業が始まっている場合もあります。例えば、英語の専科の教師の配置や外国語指導助手「ALT」の配置などを実施している地方公共団体もあります。

そして2018年度(平成30年度)、公立の小学校や中学校、高等学校での英語教育の実施状況の調査結果が文部科学省のHPで公表されました。

そこで子供が小学校で英語を学ぶ際に実態や環境はどうなのかといった状況を平成30年度「英語教育実施状況調査」をもとに見てみます。

今回使用する調査は、平成30年度「英語教育実施状況調査」の19,336校の公立の小学校等に平成30年度12月1日を基準とした結果になります。

小学校の英語教育は誰が教えているの?

平成30年度の12月1日時点で公立の小学校において成績がつかない外国語活動を行っている学級は68,843学級です。また成績がつく教科として行われている外国語活動を行っている学級は5,850学級です。

それぞれの主として担当している教師はどのような属性なのかを見てみると、下のようなツリーマップになります。

なお、専科教師とは「外国語教育のみを担当する教師のほか、学級担任となっていない教師で外国語教育を担当する教師をいう。」との事です。外国語や英語の指導力を高め、専科教師となっているとも考えられますので、英語の指導力がある教師と捉えていいかもしれません。

まずは外国語活動の授業で誰が教えているかです。

続いて教科として外国語を誰が教えているかです。

出典:平成30年度「英語教育実施状況調査」より著者作成

この2つのツリーマップを見ると、どちらも約80%の学級では学級担任が教えているのですよね。また他の選択肢である、他小学校所属教師や中・高等学校所属教師は英語の指導ができるから教えているのかはこの調査の設問だけではちょっと判断できません。中・高等学校の英語の免許を持つ教員が教えに来ているケースもあるでしょうか。この調査だけではちょっと断定はできないですね。

まあ学級担任がきちんと英語を教えられる英語力や指導法を身に着けていればいいとは思います。では実際に次に小学校教師の英語力について見てみます。

小学校教師で大学中級程度の英語力があるのは3%?

では、小学校教師の英語力の状況はどうなのかというと、これも今回の調査で明らかにされています。

調査対象となった343,295人の内、英語免許状所有者数が20,182人、英語能力の外部試験を受けた事がある人は134,252人で、そして外国語の熟達度をA1, A2, B1, B2, C1, C2の6レベルに分けて評価するCFER(セファール)で上から3レベル目のB2ランクは3,957人です。

CFERのB2ランクがどれぐらいかというと、英検だと準1級、TOEICだとL&RとSとW(つまり聞く・読む・話す・書く)のスコアが1560-1840となります。また英検準1級だと大学中級程度の英語力という事ですね。

そうすると大学中級程度の英語力があるのは約3%程度しかいないのですね。

今までの小学校の教員免許を取る時は教養としての英語ぐらいしか英語を学ぶ機会がなかった教員も多いです。ただ今後は小学校の教員免許を取る時は英語の指導法の科目を取らないといけなくなりましたので、数年後は小学校の教員は英語の指導法をきちんと修めている教師が増えてくるでしょう。

ALT(外国語指導助手)はどれぐらいいるの?

今回の調査によると、ALTは自治体が直接雇用している場合や、派遣、請負など様々な契約形態がありますが、13,044人が平成30年12月1日時点でいます。

ただALTといっても、その中で英語を母語としないものが3,813人おり、ALT全体の約30%が英語を母語としない人達がいるようですね。

小学校の英語ではICTは使われているの?

最近は小学校では、電子黒板の導入やタブレットの導入なども徐々にされています。公立の小学校でも教室に1台とは言わなくとも、数教室に1台ぐらいの割合で電子黒板が整備されている事もありますね。

では英語のICT機器を活用している小学校は19,148校となります。その中でどのようなICTの活用をしているかというと下のグラフとなります。

出典:平成30年度「英語教育実施状況調査」より著者作成

青ないしオレンジがICT機器が活用していると言えますが、英語教育の中ではデジタル教材を使う機会は多いようです。また全体の10~30%ですが、録音したり、パソコンを使う機会もあるようですね。

最近は遠隔授業などは高等教育で行われ始めていますし、オンライン英会話を受けている大人や小学生も増えてきましたが、小学校の英語の授業でICTを通じて遠い人と英語の授業をするのはまだまだのようです。

これが出来ると、例えば外国にいるネイティブの人に教えてもらえるといった事も出来るのでしょうけどね。

小学校の英語の授業の実態

今回の調査を見ると、英語力がある小学校教員はあまり多くはないけど、学級担任が教えているケースが多いという結果でした。

今後このような状況の中で、新しい学習指導要領を基に小学校で本格的に英語の授業が始まると親としてはちょっと不安でもあります。そうすると親としては子供の英語学習を小学校まかせにするのではなく、きちんと向き合い、投資をしないといけないとも思うのです。